静岡の新しい音楽の風 ~「静岡ミュージッキング・ラボ」〜
 
 音楽の主役は誰でしょうか。これまでの音楽は「作る人」「奏でる人」「聴く人」に分かれてしまいがちでした。しかし、本来、音楽は作曲者や演奏者だけでなく、聴き手を含めた誰しもが主役になって音楽を創りだすものです。そのためには、その場の演奏者(や作曲者)と聴き手がお互いに音楽を解釈し、理解し合うことが大切です。 
1990年代後半のヨーロッパでミュージッキング(music + ing = musicking)ということばは産みだされました。これまでの、作曲や演奏といった個別のカテゴリーを超えて、音を介した文化や感性の交流や、人間による音楽をめぐるアクション全般、すなわち「音楽する」ことを意味します。音楽とそれぞれの民族や地域の歴史、文化、社会は別に扱われることが多いですが、本来はそれらには密接な関係があります。Musickingという言葉には、その関係性を探究していく態度が込められており、新しい音楽の可能性を求める人たちによって研究が続けられています。 
 静岡は長い歴史文化を持ち、土地に古くから伝わる歴史的・文化的価値の高い民俗芸能も多く存在します。そして、その土壌に惹きつけられた多くのアーティストがここ静岡で芸術的文化生活を実践しています。私たちはこのような静岡の社会のなかで、音楽が社会にどのように貢献できるのか、ミュージッキングの探究と多様な実践を行っていきたいと考えます。それが新しい音楽の可能性を拓き、地域に密着した本当の音楽文化を土地の人々とともに醸成するきっかけになることでしょう。 
 
私たちは、コンサート、アウトリーチ活動、ワークショップ、アートコラボレーションなど諸活動を通して実践していきます。具体的には以下の観点から活動を行います。 
 
・青少年の健全育成

・余暇の豊かな有効活用

・市民のための継続的な相互理解

・地域のアーティストの育成 
・地域の文化資源の発掘・活用

・文化的市民生活への貢献 
 
                                                                                                 (2015年6月創設)